SOCIETY FOR HISTORICAL CONSULTING

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2023/07/30

時代考証学会第17回サロン 『エール』の風俗考証 ~作曲家古関裕而と古山裕一の相違~

『エール』の風俗考証 ~作曲家古関裕而と古山裕一の相違~

報告者

刑部 芳則 氏(日本大学商学部教授、東海林太郎音楽館学術顧問)

近年、明治時代をはじめ、戦時中あるいは戦後、高度経済成長期を含む昭和時代を描いた近現代の時代劇メディアに時代考証が入ることが多くみられるようになりました。また当該期特有に求められる指導、監修には専門家が加えられ、よりリアルな映像作品を視聴者へ届けようとする動向がみられます。これは制作現場の意向であると同時に、近現代の時代劇メディアがどのように描かれるのか、その視聴者の関心の高さのあらわれともいえます。当会では、こうした動向を議論すべく、2014年から近現代の時代劇メディアを対象としたサロンやシンポジウムを開催し、その成果を大石学・時代考証学会編『明治・大正・昭和の時代劇メディアと時代考証』(勉誠出版、2023年)として刊行いたしました。

報告いただく刑部芳則さんは、日本近代史を専攻され、本書にNHK大河ドラマ『西郷どん』(2018年)の「軍装・洋装考証」という専門知識にもとづく考証実務について紹介いただきました。時代の変化の表象として象徴的な洋服を日本人がいつから着始めたのか、あるいは大礼服・軍服のデザインの違い等をもとに映像再現の難しさなどを指摘され、当該期の映像化に関して重要な論点を提示されています。刑部さんは、服飾史、風俗史が専門で、『セーラー服の誕生』(法政大学出版局、2021年)、『洋装の日本史』(集英社インターナショナル新書、2022年)など数多くの著書がありますが、昭和歌謡史にも精通され、『古関裕而』(中公新書、2019年)を出版されるなど、ユニークな視点で歴史を描いてきた研究者です。

今回のサロンでは、「長崎の鐘」「栄冠は君に輝く」などで知られる作曲家の古関裕而(1909~89)とその妻・金子をモデルに、二人の生涯を古山裕一と音を主人公にフィクションとして描いたNHK連続テレビ小説『エール』(2020年)の風俗考証を担当されたご経験についてお話しいただきます。戦前・戦中・戦後の激動を生きた古関夫妻がドラマのなかでどのような人物として描かれたのか、風俗考証としての具体的作業や役割、音楽家を主人公とした作品における考証について議論を深めることができればと思います。

※多くの方にご参加いただきました。ありがとうございました。

日 時: 2023年7月30日(日)14:00~16:00(開場13:30)

会 場: 明治大学駿河台校舎リバティータワー8 階 1085 教室

https://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/campus.html

アクセス:JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線/御茶ノ水駅 下車徒歩約3分

東京メトロ千代田線/新御茶ノ水駅 下車徒歩約5分

都営地下鉄三田線・新宿線、東京メトロ半蔵門線/神保町駅 下車徒歩約5分

参加費:200円

追記:報告者である刑部芳則さんの論考が『明治・大正・昭和の時代劇メディアと時代考証』に収録されています。

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