歴史作品、とくに大河ドラマが市民の歴史意識の形成に与える影響は看過できない問題ではないだろうか。また、歴史作品の制作過程を追うと、市民の歴史意識が少なからず影響を与えている。歴史作品の制作にたずさわる時代考証は、歴史作品と市民の歴史意識という両者の関係性に対してどのような役割をもつのか、「時代考証学」という視点から解き明かしたい。本書第一編は、時代考証学会第3回シンポジウム「大河ドラマと市民の歴史意識」(2011.11.23)における報告。第二編は、歴史学、文学、教材編集、デジタルコンテンツ制作、地域社会などさまざまな角度から、歴史作品と市民の歴史意識との関係を論究。
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著者大石学・時代考証学会編
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出版社岩田書院
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定価本体3,800円+税
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出版年2014年
第一編 時代考証学会第3回シンポジウム「大河ドラマと市民の歴史意識」趣旨説明 野本禎司
<第1部 大河ドラマのなかの幕末像>
大河ドラマのなかの新選組と幕末 -時代考証を通じて- 三野行徳
大河ドラマ『龍馬伝』と龍馬暗殺の背景 歴史作家 桐野作人
大河ドラマ『龍馬伝』のめざしたもの 元NHK 鈴木圭
パネルディスカッション (司会)工藤航平
<第2部 大河ドラマと江戸時代>
大河ドラマの過去・現在・未来 -出演経験を通じて- 俳優 江守徹
大河ドラマと江戸時代像-時代考証の経験から- 竹内誠
時代劇ドラマの現代性とフィクション・ノンフィクション -第3回シンポジウムの成果と課題- 竹村誠
歴史作品に対する市民意識の一考察-第3回シンポジウムアンケートから- 山田貴志
第二編 市民の歴史意識と時代考証学
『鞍馬天狗』と『竜馬がゆく』のあいだ-高度成長期の大衆意識と文学- 小川和也
行き倒れ人の取り扱いおよび埋葬に関する一考察 安田寛子
教材編集と市民の歴史意識 安藤紗織
電子書籍における歴史コンテンツの展望 土屋ゆふ
長崎市におけるNHK大河ドラマ『龍馬伝』の影響 -市民の歴史認識構築と地域文化の再生-工藤航平